英語の文法、単語、発音の基礎を学んだら、スピーキングを練習する最低限の準備が整ったと考えて良いでしょう。
英語は話した方が楽しくかつ、短期間で身に付けられます。
私がフィリピンで語学留学した頃、同級生だった韓国人の子供は、講師と1対1のマンツーマン授業でたくさん話して、みるみる上達していました。
自分の中に文法、単語、英文が蓄積されているほど、話題や表現の幅が広がるので、効率的に練習できるでしょう。
私は当時、TOEICのスコアが675点でしたので、中級者といったところでしょうか。
マンツーマン形式でスピーキングの練習を始めるのに、ちょうど良い時期だったと思います。
会話を重ねるにつれ脳内に英語のアウトプットの回路ができるような感覚があり、半年経過するころには、日常会話に不自由することはなくなりました。
初級者であっても一定期間、スピーキングに励んだ後、中上級の文法・単語を座学で学び、再びスピーキングに戻る、といった手法を取れば飽きずに英語力を高められます。
練習方法としては、学習者が話す時間を多く取れるマンツーマン形式が最適だと思います。語学留学やオンライン英会話を、ぜひ活用してください。
学生時代は迷走
私は中学生の時に沢木耕太郎の小説「深夜特急」を読んで、海外を一人旅したいと思っていたので、英語には興味がありました。
高校時代は2年生の冬までほとんど勉強せず、成績は学年の底辺でしたが、上京して大学に行きたい一心で勉強。比較的、英語の成績は良く、自身でも得意科目だと思っていました。
しかし、学生時代に夏冬の長期休暇を利用し、1カ月半などと予定を組んでインドや欧州をバックパッカー旅行した時に気づいたのが、私は「How are you?」などのあいさつ程度しか、英語を話せないということでした。
英文はある程度、読んで理解できるのですが、なぜか会話になると、まるっきりダメです。
読めば知っている単語でも、いざ話そうとなると、まったく頭の中に浮かんできません。
スペイン・バルセロナのユースホステルに泊まった際、共有スペースにいた欧米人の女性客から「How do you enjoy this city?」と質問された時、何をどう返答したら良いか分からず、愕然としました。
日中に建築家ガウディのサグラダ・ファミリアやグエル公園などを見て回ったことを話せばよかったのですが、表現できません。
以降、ユースホステルに宿泊しても、同年代の欧米人らから話しかけられるのが怖く、日中は外出し、宿に戻っては自分のベッドに引きこもる、という消極的な旅をしていました。
日本帰国後、なるべく英語に触れるよう努力しました。どうしても、外国人と英語で流暢に会話できるようになりたかったです。
ペーパーバックを読んで、意味のわからない個所は文法や単語を調べるといったことを繰り返しました。
しかし再度、海外旅行に出ると、やはりほとんど話せません。
いわゆる駅前留学のような英語教室で無料相談を受け、グループ授業を体験したのですが、会話力を伸ばせるとは感じませんでした。
どのような理論で英語を話せるようになるか、納得のいく説明はなかったので、通学しませんでした。
そもそも日本の英語教室に通っている、大半の日本人は英語を話せません。
自分の周囲に、スピーキング力を高めるための参考事例もありませんでした。
自分で何らかの方法も思いつかないので勉強は進まず、大学卒業後は英語とは関係ない職種に就職。仕事に忙殺されるうち、スピーキング力を高めようと大学時代に立てた目標が頭から離れていきました。
フィリピン語学留学
たくさん話すためにはマンツーマン授業
私がようやく、英語を話す力を身に付ける方法を理解したのは、フィリピンの語学学校に通った時です。
いろいろとインターネットで検索した結果、英語圏の国へ行き、マンツーマン授業で、とにかくたくさん英語を話す環境に身を置くべきだと考えました。
私が選んだのはマニラにある、韓国系の語学学校です。
たまたまネットで見つけたのですが、大きな不満はなかったので印象で合計半年間、通いました。
ただ、日本人の生徒は数人いたものの、常駐スタッフはおらず、日本語で学習計画を相談できないのが難点でした。
日本人経営の語学学校に通っていれば、細やかなアドバイスを受けられたかもしれません。
ともあれ入学直後は、管理職のフィリピン人講師との面談で会話力が測られ、どのレベルの参考書を使って勉強するかが決まりました。
同校は、マンツーマンとグループ授業の2形式があり、それぞれ文法、長文読解、リスニング、スピーキング(グループ授業のみ)のいずれかの科目を一カ月単位で選択し、学ぶシステムになっていました。
マンツーマン授業の費用は、科目にかかわらず1カ月(1日2時間)で10000ペソ(約2万3000円)でした。
当初、スピーキングの授業を取ろうとしたのですが、講師らから「高校生らが授業で何らかのプレゼンテーションする練習なので、会話を多くしたいならマンツーマン授業を取れ」と言われ、従いました。
(【提携校60以上】CEBRIDGE|フィリピン留学のお問い合わせ )当初は学習方法に疑問…
マンツーマン授業では、生徒の申し出がない限り毎日、同じ講師と学ぶことになります。
私の講師は50代女性。最初に学校で何を学びたいか問われ、私は「スピーキング力」を高めたい旨を伝えました。
最初の1カ月は、長文読解用のテキストを使いました。私が文章を音読し、穴埋め問題を解答。「不明な点があれば質問してくれ」と言われ、必要に応じて解説してくれます。
習熟度に合わせたレベルのテキストがそろっており、私が使っていたのは日本の大学受験用と同程度の難易度でした。
文法、単語、英文いずれも理解できるので、不明な点はありません。
1日ごとに、新たな長文読解問題を解いていきました。
しかし、授業が2カ月目に入る頃、私は自分の会話力が伸びている実感が全くありませんでした。

単語5つ程度で構成される1センテンスなら作って話せるのですが、関係代名詞が入った構文や、2〜3センテンスで説明を求められる内容は話せません。
発音も日本人特有のカタカナ英語です。
私はテキストの難易度を上げて現状を打開しようと考え、講師に相談しました。
「私もそうだが、多くの日本人は中学、高校、大学と10年間、英語を勉強している」
「英文を読めるにも関わらず、話せないのが問題だ」
「私はTOEICで675点のスコアがあり、今やっているような読解問題は受験時に多く解いた。今と同じ授業を続けてもスピーキングの力は伸びないのではないか」
このように伝えました。
ただし、講師は、どのように教えたら、私の会話力が伸びるか分からないようでした。
そこで、まずは私の希望通りテキストの難易度を上げてみたのですが、長文の中で使われている単語が難しくなった程度で、会話力が向上する感覚はありません。
結果的に、私は自分自身で、マンツーマン授業の利点を活かす方法を考えることにしました。
自らカリキュラム考案
東大合格者でもTOEIC満点の保持者でも、英語は話す訓練をしなければ、話せるようになりません。
私はある時、ある東大出身の経営者が自身のYoutubeチャンネルで、英語を用いてインタビューしていた際、「r」と「l」の発音さえ微妙なカタカナ英語を使い、おそらく単語や構文を頭の中で組み立てていたと思いますが、非常に遅いスピードで話していたのを見て、確信しました。
リーディングや穴埋め問題は、文法や単語を覚え、読解スピードを上げる「インプット型」の勉強で対応できますが、スピーキングに要求されるのは頭の中で英文を構築して声に出す「アウトプット型」の能力です。
日本の受験勉強は、「インプット」能力を鍛えることに特化しています。
唯一、「アウトプット型」の勉強と言えるのは、読解問題の設問の一つとして出てくる「英作文」ですが、解答するのは英文1行程度。圧倒的に練習量が少なく、これでは瞬発的に頭の中で英文を作り発声するスピーキングに対応できません。
英会話ができるようになるには、「アウトプット型」能力を伸ばす練習が必要です。
私はマンツーマン授業の授業で、テキストを使わず、生の会話を通じて、スピーキング能力を高める手法を思いつき、実践しました。
具体定には、私が日々の出来事や過去の思い出、ニュースで読んだ時事ネタなど、一定の分量の英語を拙いながらも話して伝達。講師に意味を汲んでもらい口頭で、発音・文法的に正しい英語に修正してもらった後、不明な点があれば解説してもらい、同じように話せるまで授業の中で練習する、ということでした。
授業前には大体、話したい内容を決め、ノートに文字起こししてから臨みました。
>>>【英語学習】5つの能力に分けて上達 私の勉強法①〜文法編
記憶に定着しやすい口頭の学び
具体的な内容は、
「ライティングのグループ授業で、私の英作文の出来が良かったので、講師が課題の用紙の右上に二重丸を書いて評価した」
という一文で表現できそうなものから、
「日本は議会制民主主義を採用している。政府のトップに立つ役職は、内閣総理大臣で、国会議員の投票で選ばれる。アメリカやフィリピンのように、国民が投票して大統領を選ぶ、直接民主制ではない。日本の議会は衆院と参院の2つがあり、法案審議の際は衆院、参院の順番で行う。参院が否決しても再度、衆院が可決すれば法案は成立する」
などと、日本の制度にまつわる複雑な文章まで、いろいろ考えました。
当初は1日2時間の授業の中で、2〜3行しか覚えられませんでしたが、一度覚えたパターンは単語を入れ替えれば、異なる文章に変換できます。少しずつ話せる内容が増えていきました。
なぜか口頭で訂正された例文は、鮮明に記憶に残り忘れません。私が勝手に思いついた学習法ですが、効果は抜群にありました。
高校時代に覚えた文法や英語表現をの知識をもとに、自分の英語力が「読んで理解できる」から「話すことができる」に変わっていく感覚がありました。
今振り返ると、私を担当してくれた50代の女性講師との相性も良かったと思います。
政治ネタなど、硬い話でも興味を持って聞いてくれました。
ベテラン講師だったので、文法知識も豊富で、何かあれば分厚い文法辞典を引いて説明してくれました。
半年間の授業で、日常会話なら満足にできるようになっていました。
この時点で語学学校への通学は終了。独学で読書したり海外ドラマを見たりして、さらに英語表現を蓄積することを決めました。
(【提携校60以上】CEBRIDGE|フィリピン留学のお問い合わせ )語学学校の選び方
私はフィリピンに語学留学しましたが、日本にいながらオンライン英会話を活用してもいいでしょう。
とにかくまずは、マンツーマン授業で、たくさん話せる学校を選んだ方が良いです。
ただし、簡単かつ、自分の得意な分野で、同じような内容の会話をいくら繰り返しても、スピーキング力は変わりません。
常に自分に負荷を掛けて、新しい話題、表現を自らの口から発信できるよう、訓練してください。
各学校には、用意されているカリキュラムがあるはずです。
生徒のリクエストに応じて、授業内容を変えてくれるかも確認しましょう。
私の実体験ですが、自分で話題を決めて、話す内容を事前に文字起こしし、口頭で修正されたものを覚えると、同じような文章構造の英文を話すことができるようになります。
相性の良い講師がいれば、心強いですね。
私の場合、学校に教え方を委ねるのではなく、ある意味、講師を学習ツールのように使い、自分の好きなように授業を進められたのが奏功しました。
講師も私のやりたいことを理解し、全力で助けてくれたように思います。
学習計画や勉強方法について、日本語でアドバイスを受けられると安心ですね。
試行錯誤して英語を身につけた日本人スタッフがいれば、その人の経験談が良い参考事例になるはずです。
各学校では無料相談や体験入学を受け付けているので、どのような雰囲気か確かめてみるのが良いと思います。

