2024年12〜25年1月にかけて、ベトナムを旅行した際、WiseデビットカードでTP BankのATMを使い、月額3万円の範囲で現金を引き出す手法がATM利用手数料ゼロとなるため、最安水準でした。
出金時は、銀行の利ざやがミッドマーケットレートで為替レートを計算。両替手数料として出金額の0.75%が引かれますが、それでもクレジットカードのキャッシングより3%程度、お得でした。
現金もレートは良かったのですが、紛失や盗難のリスクを考えると、持ち歩くのは必要最低限にとどめたいです。Wiseを現金やクレジットカードと合わせて持つと、うまくリスク分散できます。
海外ATMの利用でかかるコスト
海外のATMで現金を引き出す際は最大で、①銀行などATM設置者への利用手数料②クレジットもしくはデビットカード発行者へのATM利用手数料③両替レートへの上乗せ分(マージン)④両替手数料⑤キャッシングの際の利息(15〜18%が相場)ーの5つが、コストとしてかかります。
これらのコストを、いかに圧縮するかが、少しでも多くの旅行費用を捻出するために重要です。
- 銀行などATM設置者への利用手数料
- クレジットもしくはデビットカード発行者へのATM利用手数料
- 両替レートへの上乗せ分(マージン)
- 両替手数料
- キャッシングの際の利息(15〜18%が相場)
TP BankとVP Bank ATM利用手数料ゼロ
ベトナムの場合、TP Bankが国際出金のATM利用手数料をゼロとしています。
VP BANKも同手数料を課していないとのことでしたが、私がハノイのATMで現金を引き出そうとしたところ、画面上でパスポート番号、氏名、電話番号の入力を求められた上、なぜだか出金できませんでした。
TP BANKは、日本のATMと同じように、カードを挿入して暗証番号を入力すると出金できます。私はハノイやバクザンのATMでWiseカードを試しましたが、問題なく現金が出てきました。
ただし、TP Bankが受け付けるのはMasterブランドの国際カードのみ。VISAブランドの場合、同行発行のカードでなければ使えないようです。私は一度、日本のクレジットカード(VISA)でキャッシングを試みましたが、アクセス拒否になってしまいました。
Wiseデビットカードは、デフォルトでMasterブランドなので問題ありません。
Agri Bank 最安なら1%
ちなみにAgri BankはATM利用手数料が2万2000ベトナムドン(VND)と比較的安いですが、ATMによって異なる1回当たりの出金額は最大200万〜300万VND。最大金額を引き出した場合、同行側が1.1〜0.7%の割合で手数料を徴収していることになります。
ほかの銀行はBIDV6万6000VND、Vietin Bank6万VNDなどの手数料がかかります。
Agri BankはATMの設置台数が多いので、TP Bankが見つからない場合、利用すれば良いと思います。
Wise 月額3万円までのATM利用手数料ゼロ
Wiseは、全世界で月額合計3万円までの引き出しについて、2回分のATM利用手数料がゼロになります。
ベトナムは物価が安いので、バックパッカーなら一泊1500円、1日の食費1000円で十分。3万円分のベトナムドンがあれば、しばらく行動できます。
レストランやホテルでカード決済すれば、現金を手元に残せるので、より行動日数が伸び、ATMを使わずに済みます。
私は12月、1月にそれぞれ3万円分のベトナムドンを引き出すとともに、日本円を随時両替。ホテルやレストランで独自の手数料が上乗せされない場合はカード決済し、旅行費用に充てました。
両替手数料はかかる
Wiseの場合、ATM利用手数料こそかかりませんが、カードを使う国よって異なる利率で計算される両替手数料がかかります。
ベトナムでの両替手数料は、出金額の0.75%。
為替レートを、利ざやのないミッドマーケットレートで計算する代わりに、Wiseがコストとして徴収している手数料と言って良いでしょう。
クレジットカードのキャッシングで掛かる海外事務手数料や利息より小さな金額である上、ミッドマーケットレートはVISAやMasterブランドの基準レートより1〜2%良いので、結果としてWiseの方がお得になるはずです。
私が実際にTP Bankで出金した事例を基に、Wiseとクレジットカードの手数料が、どのようになるか比べてみましょう。
Wiseとクレジットカード比較
Wiseデビットカードのコスト
私が1月3日に450万ベトナムドン(VND)を引き出した際、為替のミッドマーケットレートは1円=161.776VND.。日本円に換算すると2万7816円になりました。
TP BankなのでATM利用手数料はゼロ。Wise側も月額3万円の範囲に収まるので、ATM利用料はゼロです。
両替手数料は209円で、総額2万8025円が口座から引き落とされました。
両替手数料については、「209円÷2万7816円=0.0075」と計算すれば、出金額の0.75%分だったことが分かります。
出金額450万VND=2万7816円(ミッドマーケットレートで計算)
2万7816円+両替手数料209円=総額2万8025円

クレジットカードのコスト
クレジットカードでキャッシングした場合を想定してみます。
TP BankのATM利用手数料はゼロです。
しかし、多くのクレジットカード発行会社が、海外事務手数料を徴収しています。セゾンの場合、1万円以下は110円、1万1円以上は220円です。
450万ドン(VND)を引き出した際、220円かかります。
VISAのExchange Rate Calculatorを使って1月3日の基準レートをみると、1 JPY = 158.276147 VND。450万 VND は2万8431円になります。
利息は、30日後に返済したとすると、420円。
これら3つを足すと、450万VNDの引き出しに、総額2万9051円かかる計算になります。
220円+2万8431円+420円=2万9051円。
Wiseの2万8025円より、1026円費用がかさむ結果になりました。
出金額450万VND=2万8431円(VISAの基準レートで計算)
海外事務手数料220円+2万8431円+利息420円=総額2万9051円
現金が最もお得か
ハノイでは、旧市街の宝石店で現金を両替する手法もレートが良いと評判です。
24年12月20日(金曜日)午前11時すぎに3万円を両替したところ、1店舗ではレートが1円=164VND、別の店舗では163.5VNDでした。
Wiseの為替チャートをみると、同日午前9時のレートは1 JPY =161.510。
VISAのExchange Rate Calculatorを使って1月3日の基準レートをみると、1 JPY = 158.223091 VND。
今回の滞在期間では、現金の両替レートが最も良いとの結果になりました。
宝石店が、ミッドマーケットレートより良い為替レートを提示した理由は分かりません。今後も同様の結果が出るとは限らないような気がします。
再びベトナムを訪れる機会があれば比較したいと思います。