初級レベルの文法と単語を一定程度、習得したか、もしくは学びながらでも並行して行いたいのがリーディング(長文読解)スキルの向上です。
初級者は最初、文法、単語の習得に大半の時間を割きつつ、上達するに従い、リーディングの分量を増やしていくと良いです。
文法、語彙力があれば、英文を読んでいる途中でつまずくことが少なくなります。たくさんの英文を読むことで、会話や英文執筆の際に使える表現が蓄積されます。
最終的には、ペーパーバックなど英文読解を楽しむ過程で、まれに分からない単語が出てきて調べる、といったレベルへの到達を目指しましょう。
ネイティブスピーカーは1分間に300語のスピードで、テキストを読むとされています。
TOEICは同150ワードの読解速度が要求されるので、まずはこのレベルを目指しましょう。
私の高校時代の勉強法
大学受験で英語の試験を受ける際、文法と読解問題がスコアの9割近くを占めます。
読解問題は複数あるので、ここでいかに点数を伸ばせるかがカギを握ります。それなりに力を入れて勉強しました。
使った参考書は、私は旺文社の英語長文問題精講や、目標とする大学の赤本です。
受験英語の読解問題は「政治」「社会」「環境」など、特定のテーマに沿って、600〜800ワードの長文がいくつか出題されます。
一つ一つの文の意味を正確に訳すことができるかか、という「精読」が求められます。
英語長文問題精講を3周繰り返して単語、文法、イディオムを覚え、文章の意味を理解できるよう練習を重ねました。
ただ、今振り返ると、高校レベルでは十分だったかもしれませんが、実務や趣味で使える読解力は全く養成されませんでした。
学生時代、海外旅行に行こうと思い立ち、英語のウェブサイトを見たのですが、頭の中で「この分詞は、直前の名詞を修飾している」などと確認していたので、一定の分量の文章の意味を把握するのに長時間かかり事実上、文章を読めないのと同じでした。
英語は、10万語読んで「ようやく英文を読み慣れる」、100万語で「頭の中で英語を日本語に訳さず、英語を英語のままで理解できる」レベルに到達する、とされています。
私の場合、中学、高校合わせても2、3万語程度の読書量しかなかったはずです。
大学卒業後、社会人を経てフィリピンに語学留学する時期に、1年間に100万語、自分の背丈分のペーパーバックを読むことを目標とする「多読」の考え方を知り、挑戦することになります。
(【提携校60以上】CEBRIDGE|フィリピン留学のお問い合わせ )フィリピン語学留学時の勉強法
多読
多読は、辞書を使わずに理解できるレベルの洋書を、ひたすら読み進めるという勉強法です。
自分の興味のある本を選ぶことで、楽しく学べます。
数をこなすうちに、いつのまにか英語の表現が脳内に蓄積され、会話や文書作成(アウトプット)する上での土台も築かれます。
私はTOEICが675点だった当時、平易な英語で書かれているとされる、シドニー・シェルダンのペーパーバックですら読むのが難しかったです。
精読すれば意味は理解できましたが、それでは「多読」の訓練になりません。
少し英語に自信がある方でも、ネイティブの子供向けの本を活用し、量を読み込むことをオススメします。
グレイデッド・リーダーズ
ピアソン、オックスフォード、ケンブリッジなど各社が、語彙数を制限して書いたグレイデッド・リーダーズ(graded readers)を出版しているので、活用すると良いでしょう。
シェイクスピアの名著ハムレットや、トムソーヤの冒険、ガリバー旅行記など、古典が多くそろっており、欧米の文化に触れることができるので一石二鳥です。
英語を流暢に操れるレベルになり、欧米人と交流する頃に、古典の知識があれば熱烈に歓迎され、深い交友関係を築けるはずです。
グレイデッド・リーダーズの欠点としては、1冊当たりのページ数が少ない割に、価格が1000円前後と高いことです。
何冊もそろえるのは経済的に、現実的とはいえません。
公立図書館や古本屋に、本があれば活用してもいいでしょう。
アマゾンの定額読み放題サービスKindle Unlimitedでも、対象となっている本があるので、ウェブサイトを確認してみてください。
私がフィリピンに語学留学した際は、街の本屋で子供用に書かれた英語の古典や、寓話が一冊100ペソ(250円)程度で売っていました。
ローカルの食堂なら50ペソ程度で昼食を食べられるので、現地の物価からすると、高かったかもしれませんが、子供向けとはいえ洋書が一冊100ペソなら安いものです。
授業の気晴らしにもなるので、十数冊読んだと思います。
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ペーパーバック
その後は、シドニー・シェルダンやダン・ブラウン、ジョン・グリシャム、ジェフリーアーチャーなど、大人向けのペーパーバックに挑戦しました。
フィリピンの語学留学を終えて、少し経った時点でのTOEICは880点でしたので、ペーパーバックを読み始めた段階でも800点ぐらいはあったと思います。
内容の理解は7〜8割といったところでしょうか。
分からない単語や文法は飛ばして、量を読み込むことに集中しました。
語学学校を終えた後の数ヶ月間、フィリピンに留まっていたのですが、「100万語」の多読を目指し、読書ばかりしていました。
やはり大人向けのペーパーバック(小説)は、ストーリーが練られていたり、伏線が仕込まれたりと、エンターテイメント性が高いので、面白いです。
ジョン・グリシャムのThe firm
ジョン・グリシャムの「The firm(法律事務所)」は当時、私がハマった一冊です。
ハーヴァード・ロースクールを優秀な成績で卒業し、ウォール街の名門法律事務所からの数え切れない就職勧誘書を手にした青年、ミッチ・マクディーア。だが、彼が選んだのはメンフィスにある中堅事務所だった。その理由はただひとつ「お金」。一〇年必死で働けば億万長者。あとはバラ色の人生が待っているはずだった。だがこの事務所では過去に五人の弁護士が非業の死を遂げていた。その謎を追ううちに事務所を背後で操る巨悪の存在を知ったミッチは、やがて悪の組織との対決を迫られる…。
「BOOK」データベースより
ダン・ブラウンのThe Da Vinci Code
トム・ハンクス主演で映画化された「ダ・ヴィンチ・コード」は、やはり原作も面白いです。
宗教関連の専門用語など難易度の高い単語はありますが、映画を見てストーリーを知っていれば、頻繁に調べることなく読み進められるでしょう。
ルーヴル美術館のソニエール館長が異様な死体で発見された。死体はグランド・ギャラリーに、ダ・ヴィンチの最も有名な素描〈ウィトルウィウス的人体図〉を模した形で横たわっていた。殺害当夜、館長と会う約束をしていたハーヴァード大学教授ラングドンは、警察より捜査協力を求められる。現場に駆けつけた館長の孫娘で暗号解読官であるソフィーは、一目で祖父が自分にしか分からない暗号を残していることに気付く……。
Amazon.co.jpより
日本帰国後
週刊英字新聞
日本に帰国した後は2年間、会社勤めで英日翻訳の仕事をしました。
強制的に1日当たり、5000語以上を和訳していたので大分、読解能力が伸びたと思います。
並行して、多読のように、意味のわからない個所は読み飛ばすのではなく、しっかり意味を確認して英文を読むことにしました。
当時、使ったのが英語学習者向けの週刊英字新聞「The Japan Times Alpha」と「Asahi Weekly」です。
どちらも1週間の主要ニュース、旅行記、小説、文法コラム、大学受験用の設問などが盛り込まれており、一部コンテンツは音声で発音を確認することができます。
難しい表現や単語は、日本語の意味が付いているので、辞書をめくる必要がありません。
読者層は、TOEICで550点程度の中級者以上を想定しているようです。
週刊で時事ネタを扱うので、掲載されている内容に新鮮味があり、飽きません。
全ページ読むのに、丸一日と少し掛かっていました。
当時、私のTOEICスコアは880点でしたが比較的、優しい内容を、十分に理解しながら多読する、という目的にピッタリの教材でした。
電子版もありますが、紙の新聞の方が通常、PCディスプレイよりも大きいので、見やすいです。
机の上に置いておけば、PCを起動するなどの手間なく、気づいた時に読めるので、「紙版」を選択して正解だったと思います。
購読は雑誌のオンライン書店Fujisan.co.jpから申し込めます。商品によっては、定期購読で料金が10%オフになったり、送料無料になったりするキャンペーンがあるのでお得です。
購読期間を3カ月などと指定できるので、「The Japan Times Alpha」と「Asahi Weekly」を交互に読んでも楽しいです。
2年ほど購読した後は、もう少し難しい英文に挑戦したくなり、ペーパーバックの多読に戻りました。
>>>【英語学習】5つの能力に分けて上達 私の勉強法④〜リスニング編
(【提携校60以上】CEBRIDGE|フィリピン留学のお問い合わせ )
