フランスのクライミングギアメーカー・ペツルのビレイデバイス「グリグリ」は、ブレーキアシスト機能付きの製品としては、世界で最も使用者が多いとされています。
ルートを登り始める前には、安全にギアがセットされたか確かめるパートナーチェックが必須です。
同じデバイスを所有していれば、構造や使い方を熟知しているので、操作が間違っていないかどうか簡単に確認できます。
知人の紹介などを通じて出会った、新たなパートナーとも素早く信頼関係を築けるはずです。グリグリを持つことで、より多くの人とクライミングを楽しめるようになるでしょう。
製品はビレイ経験者向けの「グリグリ」(税込11,660円、2022年8月現在)、初心者にも最適な「グリグリ+」(16,060円、同)の2種類が販売されています。
どちらも直径8.5mm~11mmのシングルロープで使用できます。グリグリ+は特に8.9mm~10.5mmで快適に動作するよう設計されています。
(C)ペツル D014BA・グリグリ【10%OFF】【ビレイデバイス】【キャンプ&クライミング館】デバイス名 | グリグリ |
価格(税込) | 11,660円 |
対応ロープ径 | 8.5mm〜11mm |
重さ | 175g |
カラー | グレー、レッド、ブルー |
デバイス名 | グリグリ+ |
価格(税込) | 16,060円 |
対応ロープ径 | 8.5mm〜11mm 8.9mm~10.5mmで最適な動作 |
重さ | 200g |
カラー | グレー、オレンジ、バイオレット |
操作方法、特徴
ATC式のビレイデバイスと同様の手法(右利きの場合)で、クライマー側のロープに左手を添え、末端側のロープを右手で送り出すことで、ロープを出せます。右手で引けば、ロープをたぐれます。
クライマーが墜落すると、本体のカム(ハーネスにセットした場合は左側に位置)が跳ね上がり、ロープを挟んで自動的にブレーキが掛かるのが特徴。ATCに比べて、人為的ミスによるグラウンドフォールが起きにくいとされています。
クライマーがハングドッグ状態で休む際、ATCでのビレイなら右手に力を込めて末端側のロープを握った状態で、確保を続けなければなりません。
グリグリであれば、カムが作動してロープをロックした状態になります。末端側のロープは軽く握っているだけでよいので、握力の消耗を抑えられます。
あくまでブレーキアシスト機能なので、末端側のロープは一瞬たりとも離してはいけません。デバイスの故障など万が一の際、ロープが不用意に流れてしまい、グラウンドフォールする可能性があるからです。
ロワーダウンの際は、ハンドルを少しずつ引いて、カムのロックを解除します。末端側のロープを握る力の強弱で、速度を調整します。
ロープは、本体右側のプレートがめくれたように加工された部分に載せて、制動しやすくします。
「グリグリ+」は、ハンドルを強く引き過ぎると、自動的にブレーキが掛かるパニック防止機能が付いています。
クライミング経験があまりない、友人や恋人にビレイしてもらう時に役立つでしょう。
素早い繰り出し
素早くロープを繰り出したい時は、右手の中指から小指の3本で末端側のロープを持ち、本体右側のプレートがめくれたように加工された部分に人差し指を「くの字」に曲げて下から当てがい、親指でカムを押さえてロック。左手でロープを引き抜くように、出します。
この際、右手でグリグリ全体を包み込むように持つと危険です。カムの動作が抑えられてブレーキアシスト機能が動かず、クライマーの墜落時にロープを止められない危険性があるからです。
ベテランクライマーでも、間違った使い方をしている光景をよく見かけます。
ペツルはホームページやYoutubeで注意を促しています。一次資料で正しい操作方法を学ぶことが大切です。
カラビナとの相性
ペツルは、ビレイ中にグリグリが動き回らないよう、変形D型「スピリット スクリューロック」(税込2,695円、2022年8月現在)などコンパクトなカラビナを使うことを推奨しています。(リンク参照)
ATCと一緒に使われるHMS型カラビナは、グリグリがスパイン(カラビナの強度が低下するマイナーアクシスの位置)に移動しがちです。
ビレイループ内での移動を制限する、サブゲート付きでなければ、HMSカラビナは避けたほうが良いでしょう。
「フレイノ」(同7,150円、同)は、グリグリとの相性が抜群です。カラビナのスパイン側にワイヤーゲート付きの空間があり、ロワーダウンの際にロープを入れて操作することで、金属部分との摩擦により、静動力をますことができます。
重いクライマーのビレイに役立ちます。
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日本の岩場やジムでは、1〜2クリップ目からムーブが悪いルートが多く、微妙なロープの出し入れでグラウンドフォールを避ける必要があります。
ATCは構造上、ロープの出し入れが速いため、このようなルートでの使用に向いています。
国際大会でもビレイヤーはATCを使っています。
一方、海外では、グリグリの扱いに慣れていることも、クライマーの必須スキルと見なされがちです。
岩場で落石により、ビレイヤーが気絶するなどの事故が起きても、デバイスがクライマーを確保し続けてくれるからです。
ATC、グリグリどちらの操作方法にも慣れた方が、クライミングをより楽しめるでしょう。
(C)ペツル D014BA・グリグリ【10%OFF】【ビレイデバイス】【キャンプ&クライミング館】